狂犬病について・予防接種は必要か狂犬病について ~予防接種は必要か~ 狂犬病の予防接種の時期がやってくるたびに ウーーン、、狂犬病の予防接種ってほんとに必要なのかなあ 日本は狂犬病ってないんじゃないの 犬だけがどうして注射しなきゃいけないのよ~ なあんて思ってらっしゃる方もおいでじゃないかしら で、今日は狂犬病とその予防についてのお勉強をしてみましょうね~ さあ、みなさーーん、緋佳先生のお話をよーーく聞いてちょうだいね 日本には「狂犬病予防法」という法律があります ひとつの病気を対象としている法律は、この「狂犬病予防法」だけ なぜって、この狂犬病は、発病すると脳炎を引きおこし、 致死率100パーセントの怖い病気だからなんです 一般にはウィルスに感染した動物に咬まれて、 その傷口に付いた唾液からウイルスが伝染する場合が多いのですが 目や唇などの粘膜を舐められたり、また舐められたところに傷があったりしても危険です 狂犬病に感染して世界で毎年約5万5千人が死亡しています ちなみに、今、恐れられている鳥インフルエンザですが、 こちらは年に408人が発病して255人が亡くなっています 毎年5万人以上が亡くなっているってすごいことなんです 狂犬病は、感染しても発病する前に、曝露後ワクチンを打つことで死をまぬがれることができます 亡くなった5万人以上の人のほかに、800~1,000万人という人が曝露後ワクチンによって 発症をまぬがれたというこわーい現実の数字があります じゃあ、狂犬病の症状ってどんなんでしょうね ●犬の症状について 凶暴になるイメージがありますが、 見た目必ずしもそうではありません 犬はいつも不安そうにして、暗いところへ隠れたりして落ち着かない。 急に驚いたように立ち上がったりする。寝なくなる。 ウロウロと歩き回り、なんにでも噛み付くようになる。 鳴く声はしわがれて、呼吸も困難となる。 喉が麻痺・痙攣するために食べ物や水を飲み込めなくなる。 涎を垂らしながら興奮する。 すでに立つこともできなくなり、脱水症状となり、昏睡状態となり死に至る。 ●人の症状について これらの症状が現れたら回復は見込めません 発熱、食欲不振 風邪の症状 咬まれた傷の痛み 知覚異常 喉の痙攣発作 飲み水不可能(恐水症) 高熱、幻覚、錯乱、麻痺 全身痙攣、昏睡 呼吸困難、血圧低下 以上のような狂犬病の症状が出てからではすでに曝露後ワクチンは効きません 風邪かなっと思った時点で、もう発症してしまっているんです・・ ●曝露後ワクチンって 咬まれた後に接種することを「暴露後ワクチン接種」 犬などに咬まれる前に予防接種することを「暴露前接種」と言います。 ●海外旅行先などで犬に咬まれたら すぐに石鹸を使って傷口を十分に洗い流します そして、医療機関を受診して曝露後ワクチン接種をしてもらってください 咬まれた部位については「抗狂犬病ウイルス免疫グロブリンの投与」を受けます。 いずれも出来るだけ早く、24時間以内には処置を受ける必要があります。 曝露後ワクチン接種は咬まれる前にワクチンを受けてたかどうかによって 接種回数などが異なります。 海外へ出かけるときは、狂犬病のワクチン接種も考えたほうが良さそうです。 ●潜伏期間は咬傷の部位によって大きく異なります 普通1~2ヶ月ですが、1日~10年とかなりの差があります。 足先など脳に遠い部位が咬まれた場合は潜伏期間が長くなり、 首筋などを咬まれると短くなります。 神経を伝わって脳まで達して、脳で増殖し脳炎を起こす病気です。 子供の死亡が多いのは、不用意に犬に近づくことと、体が小さいので 体のどこを咬まれても脳から近いため潜伏期間が短いからなんです 狂犬病がどんな病気かが分かったところで、次は日本の狂犬病の歴史を振り返ってみましょう 日本に最初に狂犬病が発生したのは、 1732年江戸末期 長崎においてオランダ人の持込犬からでした そして陸路から、また海路をも経ながら、動物から動物へと感染 約30年後の1761年 青森にまで感染が広がったのです 明治30年には全国に広がった狂犬病ウィルス 昭和19年に東京で大発生しました そのとき、50人が死亡、犬は700頭が死亡したとのこと それを踏まえて、昭和25年に狂犬病予防法ができた、というわけなんですね 狂犬病予防法ができてから、わずか4年後の昭和29年に人の犠牲者は最後となりました 動物では昭和31年に犬6頭が犠牲となり(神奈川) 昭和32年に猫が犠牲となったのが最後となりました。 このようにわずかな年数で国内発生を抑えることに成功したのは日本だけです 島国だったことが幸いしたものと思われます 以降の日本における狂犬病の発生は 1970年 1名 ネパールで犬に咬まれて 2006年 2名 フィリピンで犬に咬まれて などがありますが いずれも海外での感染であり、国内での発生ではありません。 ●じゃあ、やっぱり、日本にいる限り予防接種なんてしなくていいんじゃないの~ って思っちゃったりして いえいえ、人と動物が国を越えて行き来する現代では ウィルスの侵入に常に警戒する必要があるんです 輸出入検疫など犬だけではない対策も実施されていますが 充分とは言えないかもしれません・・・ 海外での最近の実例をあげますと ◎2004年 フランスにおいて不法輸入された1匹の犬に狂犬病が発生しました このとき、この犬に接したと思われる187名がワクチンを接種 狂犬病の予防接種を受けていなかった29頭の飼い犬が殺処分されました ◎2008年 狂犬病発生のなかったバリ島にて 4歳男の子など4名が死亡 狂犬病に感染している犬が確認されて 家畜の大量殺処分 飼い犬を含めた503頭の犬を殺処分 約9000匹もの犬にワクチン接種を開始 動物の移入、移出が禁止されるという事態となりました これらの事件は他人事ではないんです 密輸された動物がいたりして、もしそれが狂犬病に感染していたら・・・ ●日本で狂犬病が発生したらどうなるか 日本で狂犬病が発生したら、まずパニック発生 人も犬もワクチン接種に殺到し、ワクチンは不足 動物の移動を禁止され、交通は遮断 多大な経済的損失 ワクチン未接種犬の殺処分実行 捨て犬、捨て猫の増加、捕獲が追いつかない状態 殺処分ゼロなんて、夢の話になってしまいますね~~ ●そんなふうにならないためには 法律を守って犬の登録と狂犬病予防接種を受けさせること これは、飼い主自身のためであり、愛犬のためであり、周りの人のためでもあること 狂犬病の正しい知識を身につけておくこと 輸入動物は買(飼)わないないこと 海外では動物に触らないこと 猫は予防接種がないので感染を防ぐため猫を室内飼育すること 狂犬病の蔓延を予防するためには、 すべての犬の70パーセントが予防接種をしていることと言われていますが ペットフード工業会の調査では、未登録犬も含めたワクチン接種率は 39パーセントとWHOガイドラインの目標をずっと下回っています。 狂犬病が発生してからでは遅いのです、ちゃんと狂犬病予防接種をうけさせましょうね といっても、老齢な犬や病気の犬は無理して受けさせなくてもOKですよ ちゃんと獣医さんの診断のもと、しない方が良いようであれば証明出してくれます。 ●どうして犬だけが予防接種をするの 狂犬病ウイルスは全ての哺乳類と鳥類に感染します 犬だけではなく、猫、フェレット、アライグマ、スカンク、キツネ、コウモリ、リスなど 人がペットとして飼育する可能性のある動物、すべてもそうです しかし、人の感染の90パーセント以上は犬からであり、猫は犬の2パーセント程度だとのことです。 ヨーロッパにおいては、野生動物の狂犬病発生を抑えるために、 ワクチンの入った餌を空から撒くなどしていますが 日本の野生動物においては、狂犬病発生はありませんので 日本の場合はペット対する対策のみでOKなのは幸いです。 また、渡り鳥などが狂犬病になっていたとしても 鳥は咬みついたりしませんので、加害者とはならず むしろ動物の中では被害者にしか過ぎませんし 感染した鳥に渡ってくる体力があるとも思われません ◎狂犬病の予防接種を愛犬に受けさせておくことは 飼い主自身を守り、愛犬も守り、まわりの人たちを守ること忘れないで もしあなたが、狂犬病予防接種なんてしなくても良いって思ってたら、、 明日もし、国内で狂犬病が発生したら、自分の犬が予防接種を受けてなかったら そのとき、そのご愛犬はどうなるのでしょうか・・ 悲しい運命をたどることにはならない保障があるでしょうか ・・・ってこと、考えてみてくださいネ~ ジャンル別一覧
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